2011年05月28日

虚構推理 鋼人七瀬

「虚構推理 鋼人七瀬」
城平京著 講談社ノベルス

Amazonで何となく「城平京」で検索していたら、いきなり小説新刊でびっくりして購入した…。
講談社編集部にありがとうございますと申し上げたい次第。

城平先生というと、「スパイラル〜推理の絆〜」の原作者として有名なのかなあ。アニメ化もされてますし。
私もそこから入ったクチですが、当時、ひと味違うミステリ漫画に衝撃を受けたものでした。読み始めたのは3巻くらい。(ミステリ漫画らしいと判るととりあえずチェックする癖がある頃であった…)
そこから、漫画はコミックス派なれど、創元推理文庫も含め、城平先生作品は全作追いかけている訳です。

何しろ、好きな小説本は何ですか、と言われたら、「スパイラル 〜推理の絆〜 鋼鉄番長の密室」を一番に上げてしま良そうになる程度には、この手のお話が好きな訳です。スパイラル小説版4作目の悪魔の折り紙のお話も大変に好きである。

漫画も「バンパイア十字界」は、毎巻発行されるたびに、どんでん返しにドキドキしていた…。
どんでん返しって、脳のどこかが活性化する感じがする。読んでいて楽しい。

そんな私が、城平先生の小説が出るともなれば読まずにおれようか。いや、おれまい。

ってことで本編の感想。

…いいんですかね? 帯の推薦文がどっちかというとラノベ系の方のようですが、いきなりヒロインが、あんな台詞吐くようなタイプで(51ページ上段末尾)。
装丁もどっちかというとそういう読者想定しているよーな気がするんですけど。
私的には、この主人公カップルはおもしろくていいですが。なにしろどんな恋人同士やってるのが想像すると笑える。

というか、この本、既にミステリずれしたような人の方がおもしろがるんじゃないかなあ? この推薦者でいいのかなあ? と思ったり。

何しろ今回読んだ私の感想は、「ああっ! こんな形のミステリがあるのか!(やられた)」だったので。

まっとうな紹介の仕方をすると、おそらく、伏線とかのピースが見事に回収されるミステリが好きな人向きな話だとは思います。
けど、これミステリの範疇なのか、と、フツーの人は思いかねない…気がする。私的には充分ミステリ範疇なんですけど。

いえ、本音言うと、今回のお話は、微妙に回収の段の決め手が弱いよーな気もするのですが。
先に4つって言われたのもちょっと何かな…。これが最後の一手です、的にやってくれても良かったような。
あと、キャラクターは主人公の思考のノリが、スパイラルの主人公を思い出すな〜って感じ。わかれた彼女が兄嫁タイプ。とすると兄が九郎なのか。
その他にも、一部、日本語が気になるところがあったよーな。何でかな。私の言語感覚の問題かな。
いや、そもそも、タイトルからして、城平先生のタイトルの付け方って、不思議なセンスだよなあ、と以前から思ったりしている…。
売れるんでしょうか。売れてください。他の人も読むといい。そしてもっと城平先生の本が出るといいと思う。そうすると私は城平先生の新作を読めて大変嬉しい。

タイトルの付け方からすると、これはシリーズ化してくれそうな話でもある。次巻以降どのような展開をしてくれるのかが大変気になります。

しかし、この本、最大の驚きは、帯で別の出版社の本が大宣伝されていることかもしれないっす…。
ガンガンってスクエニ発行だよね…。

ともかく楽しく読みました。ごちそうさまでした。

posted by sunfire at 14:23| 本:推理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月27日

プリンセス・トヨトミ

「プリンセス・トヨトミ」
万城目学著 文春文庫

映画館で、映画「プリンセス・トヨトミ」の宣伝を見て、なんじゃこりゃ! トンデモ系なおもしろそうなお話は!と思っていたところ、「原作の小説がありますよ〜」と友達に聞いて手に取った本。

「万城目さんというと、鹿男の人」みたいに他の友達は言っていたんですが、ドラマ見てないので判らない…。
ともかく初遭遇な感じで読んだ。

描写の言葉の使い方が面白い作家さんだなあ、というのが、最初の印象。

内容は、ミステリにするかSFにするか、どっちでもいいような気がするけど、そもそもそれしか小説に分類がないこの読書感想サイトってどうなの……、と思ったあげく、とりあえず「小説」のカテゴリを作ってみた、ってあたりが感想かもしれません。
ってか将来的にこれ1冊しか書かれないみたいなオチが出来そうなカテゴリですが。

読んでる最中、実はぼろぼろ泣いていた…。
どこで泣くの? と言われそうですが、大阪の街でみんながひょうたんとか買い求めるところとか、集まっていくところ。
そこで、何で泣くの? と言われるかもしれないですが、名もない庶民が実は世の中を動かすことが出来るんだ、というメッセージのような気がした訳です。
なんかそういうのに弱い。歴史に名を残すのは一部の政治家や元首とかだけですが、本当は民衆が歴史を作れるんだぞ、みたいな。
政治に無関心な日本に普段から怒っているからかな。でもこれも政治じゃないかもしれないですが。
どこかに大阪国があるといい。

映画は見てないんですが、このどこまで忠実に作品にしてるのかなあ。なんかかなり違う印象なんですけど。少なくともゲーンズブールと鳥居のキャラクターの性別は違っている…。
映画の宣伝のつつみんがかっこよすぎる…。

空堀商店街に行ってみたい。
お好み焼き食べたい。
大阪城、久しぶりに行ってみよう。
大阪遊びに行こう。

そんな小説だと思った。


ところで。私は藤森照信さんの建築探偵の本を読んで以降、辰野金吾とか洋館建築好きと化しているのですが。いきなり辰野金吾で驚いたある…。辰野の国会議事堂エピソードは、藤森さんの建築探偵の中で出てくる話の方が好きなので、ちょっとこの本の中の描写には苦笑い、でした。
辰野建築とかいうと、日銀ビルは上から見ると「円」の形してるとか、しゃれが効いていると思います。マンダリンオリエンタルから見ると良くわかるんだぜ〜。
東京駅も早くかつての姿を取り戻すといいよ。そうしたら、オランダの駅をまねしてるとか言われなき誹謗(だと私は思う)を受けなくて良いのにな。あの変な形の屋根見たら絶対、似てるとか言えない(笑)。
posted by sunfire at 14:41| 本:小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月28日

みんなが知りたい地下の秘密

「みんなが知りたい地下の秘密」
地下空間普及研究会著 Softbank Creative

読んだ時期が時期で、地下空間って地震大丈夫なのかな〜と思って読んでいました。
地下の方が揺れが少ないとかいろいろ言われているわけで、事実なのかもしれませんが、地下の有効利用の中に、放射性廃棄物の地下保管というのが記載されていて、ムムム…という気分に。発行は2010年4月。今なら書かないんだろうなあ…。

シールド工法などについては他の本でも見ていて、それより詳細な話が読めたりしたところは良かった訳ですが、そんなことより、この本で最も驚いたこと。

東京電力が建設し、2009年3月より運用を開始している「東西連携ガス導管」は千葉県富津市の「富津火力発電所」と神奈川県川崎市の「東扇島火力発電所」に設置された2つのLNG(液化天然ガス)基地を、東京湾海底下を横断する延長約20kmのガス導管でつなぐ設備です。


液化天然ガスというと、低温で冷やしてないとヤバイというか、火の気厳禁というか。
これ、地震でぐらぐら揺れたりしたときに、大爆発大火災とかにならないんだろうか、と思った次第。
そういう意味ではLNGのタンクとか地上でも地下でも危険っちゃ危険なのかな。地下の方が安全なのかな。耐震設計は行われているんでしょうけど。

そんなものが東京湾を横断している…!(アクアラインだけじゃないんだ…!)というのがある意味衝撃。あ、海ほたるには、シールドマシンの原寸大模型が置いてありますが。それはさておき。

東京電力のホームページとか見るとちゃんと情報は載ってるんですよね。
http://www.tepco.co.jp/h-ogishima-tp/news/004_430-j.html
こうした情報は公開されているにもかかわらず、実は全然知らないという…(関係者だけ知っているということなのか)。

いろんな地下設備もですが、こうした知らないことがいろいろ世の中にある。市民としてみると、何が良くて何が悪いのか以前に、存在を知らない、監視しきれていない、という問題を感じたりする。いろんなことをみんなが知らないといけないんじゃないかなあ、と思ったりしました。

何事も誰かがやってくれる、という発想はあまりにもよろしくないのではないかと思います。
知ろうとしないことは実は罪なのではないか、とちょっと思ったりする今日このごろ。
だからと言ってこういう雑学でいいのか、という話もありますが。

アメリカの核シェルターなんかはホントに隠されていたようですが、日本のあれこれは実は隠されているものはあんまりない。みんなが単に興味を示さないだけ、というものが多い気がする。

そういえば、海外事例…。どうせなら、GoogleのIDCとか見せて欲しかったなあ…。(無理か)
posted by sunfire at 17:45| 本:建物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月04日

ジーン・ワルツ

「ジーン・ワルツ」
海堂尊著 新調文庫

…毎回悩む。これはミステリなのか? 文学とかいうジャンルを作ればいいのかな? いやいや、海堂先生はバチスタデビューだからミステリでいいんじゃね? 謎解きのような形式(代理母出産は行われているのか)になっているからミステリでいいんじゃね? みたいな?

帯を見て、あ、映画化なのか、と思って買いました。メディアミックスされるとなるとそれなりの内容だよね、みたいな怠惰な発想な訳ですが。即ち、無精もので読書好きではないので、面白くない本を読むのはめんどくさい、みたいな。

内容的には、厚労省についてひたすら腹立たしい気分になれるという話なのかなあ? 大学のインターンが、大学に命じられた地方に行かなくてはならないという状況が打開されたことを、私は良いことなのかな、と思っていた訳ですが、地方医療の崩壊を招いた原因である、と解説されると、うむむ、と唸る。たしかに誰しもつとめたい場所にのみ行くというのは、結局のところ上手く回らないって事態を生みやすいとも思われ。象牙の塔というか白い巨塔のイメージが良くないんじゃないかなあ。たしかに製薬会社と医師の癒着はあるのだと思いますが(欝は何故増えたのかとか読むとそうとしか思えない)、そんなに先生の権威が大きいのかなあ、と思ったりも。そういや、サンデーの最上の名医(字が違う気がする)も、中央大学の権威について述べていたような。ついでに海堂先生の著作自体も、大学の教授の力の強さについて折々で述べているようにも読める。ので、その力をもごうとしたのは、わからないでもないような。
とはいえ、産婦人科医が逮捕された事件については、産科に向かう医師の卵を明らかに減少させてしまったとは思う。
昨今、東京都の青少年条例のおかげでいろいろ考えるところがある訳ですが。本の規制も、性教育とセットでなければならないというのが私の持論な訳ですが。
すなわち、正しい性教育抜きで、禁止だけしても意味がない。何しろ、その昔、ハリウッド製の無人島映画を見ていたら、遭難したときには子供同士の二人で大人がいなかったのに、助けられた時には子供が出来たりしててびっくりしたもんだ…。あれは、人間は動物なのでほっとくとサカるという意味だろうかと思った…。
閑話休題。とにかく、子供を産む母親になる人たちも、非常に脳天気で知識がないのが呆れることが多い。ある程度、脳天気じゃないと子供は産めないのかも、と思ったりもしますが、30越えての妊娠はリスキーなのだともっと皆知るべきではないのか。羊水は腐らないけど、卵子は劣化する、と良く知るべき。この本にも書いてありますが。(だから、お馬鹿な歌手の発言はホントに馬鹿だな、としか思えなかったのだった。未だにあの人の顔を見ると、そろそろアナタの羊水は劣化し始めてるんじゃ?とか思うもんなあ…。あれが卵子は劣化するので、さっさと結婚して子供産んだ方がいいって言ったのだったら、誰も非難出来ないのに。だって正しいことを言っているんだから。)
妊娠しました、と言われても、元気な赤ちゃんが生まれましたと言われるまで、安心しておめでとうと言えないのは、私だけかなあ。周囲に障害を持った子供で苦労していた人がいるからかなあ。多くの人はもちろん、元気な赤ちゃんに恵まれている訳ですが。生まれた子供が大きくなることも大変だと思う。


ともかく、面白い書籍というのは啓蒙の力を持っていると、海堂先生の本は感じさせてくれます。
世の中、こんな風に上手くは回らないけれど。

ところで、真弓さんってどこの何の作品に出てきた人が思い出せない…。
posted by sunfire at 15:09| 本:推理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月03日

『ニッポン社会』入門

「『ニッポン社会』入門 英国人記者の報復レポート
コリン・ジョイス著 西岡健彦訳 生活人新書(NHK出版)

この本、何で読もうと思ったんだろう…? ネットの書評かなあ? Amazonの買い物かごに入れたままずっと、毎度、今回買わない、としていたような記憶がかすかに。

英国人の人が日本に来て、日本について語っている本。
日本人ほど外国人から見た自らの姿がどのようなものか気にする国民はいないそうですが。確かにそういうところも気になるけれど、外国の人が見て変な日本を感じることは、すなわち異文化の学習でもあると私は思っています。

日本のことを語っているようだけど、イギリス人が、その実、サッカーとビールのことしか考えてないとか、やっぱり自国には誇りを持っているとか、古い物を大切にする文化を大事に思っていることとか、良く判ります。また、意外に自国の食べ物に自信を持っていることも判った…。

というか、イギリスの紅茶がとても美味しいのは判るんですが、それって静岡で飲むお茶が美味しいのに似ている気がするんだよなあ。重要なのは茶葉ではなく水だろう、と思うわけです。日本でイギリスの水をわざわざ使ってお茶は入れない…。本当に安いパッケージツアー用のホテルに泊まった時に、朝食はすごくしょぼいのに、一緒においてある紅茶がとんでも美味しくてびっくりした記憶がある。ということが本の中で書いてなくて、紅茶を持ち上げているのは、どうだろう?と思った次第。

ところで、帯にも「日本で暮らすならこれだけは覚えておこう」という注意として、
「納豆は平気ですか」と何度も訊かれる
というのが出てますが。
これ、日本人同士で食事する際にも、(納豆を注文しようとしたら)確認しませんかね? 私は嫌いなものを尋ねられたら、まず「納豆」と答える人なので、重要な問題だと思うんですが。
あと、血液型はさておき、何故、靴のサイズが覚えておくべきことなんだろう…? 著者の人は電車の中の吊り広告に頭が着く程度の長身らしいので、足のサイズも大きいんじゃないかな? それで訊かれるだけなんじゃないかなあ? 普遍的な質問とは思えない…。

それから、中で語られていた「ガイジン」という単語。ガイジンでいることについての気分とは?というのを読んで、我々日本人が認識する外国人について幾分考えざるを得なかった。
ネイティブで日本語を話す人以外を、我々はガイジンと捕らえるのではないか。目の色や髪の色や肌の色ではなく、日本の文化を知っているか否かが、foreignerとされるか否かの境目であると思う。そして言葉がたどたどしくとも、日本に帰化して日本人となり日本から外に出ない(日本で一生暮らす)ことを選択した人ならば、ガイジンではなくなるのではないか。たとえば、在日韓国人は言葉の意味では日本人だけれど、彼らは日本人として日本で一生暮らすことを選択していない、だから外国人なんだろうな、と思ったりも。いずれも私の感覚であって、一般的な意識ではないですが、少なくともこのコリンさんは、日本で一生暮らすとは思えないので、明らかにガイジンさんだよね、と思った次第。

そういえば、日本語は難しい言語ではないというのには私も多いに賛成します。日本人が外国語を覚えるより、外国人が日本語を覚える方が、新しい音を覚える(発音する)必要がないので、容易に覚えられるはず。
そして、我々が、ガイジンさんに日本語お上手ですね、と言ってしまうのは、我々がいかに外国語に不自由しているかという問題の裏返しだと思います。
日本人が英語を学ぶことは非常に困難を伴う訳です。何しろ多くの音の聞き分けが出来ないんだから(5歳くらいまで日本語のみの環境で暮らすと、音の聞き分け機能が脳内で発達しないので、聞き分け不能となるとどこかで読んだ)。聞き分けが出来ない言葉は話すことも出来ない訳です。これって重大な問題だと思う訳です。作家とサッカーの違いくらい、大したことはないと思う。
あと、日本語の書き文字をローマ字にしろっていうのは、他国の文化を陵辱する発言だと思うんだな…。日本人にもたまにこうしたことを言う人がいますが。日本語というのは母音が少ない。イコール、同音異義語が非常に多い単語な訳です。こんな言葉を漢字も使わず、ひらがなとかカタカナだけとかローマ字だけで表記する? 唱えている人は日本語の特性を理解出来てない程度には頭悪いんじゃないかな、と私は思ってます。文脈だけで読み取れというのは非常に困難だろうし、非効率。漢字仮名混じりでこその日本語の書き文字。
漢字が読めなければ(読めない人のためには)ルビを振ればいい。だいたい、漢字は読めなくても、表意文字なんだから、見て何となく何を言ってるか判るというメリットもあるのに。意味わかんないまでに簡略化された簡体文字を見て、何だかもの悲しいなあと思ったりも。
そこは日本の住所地番や駅名や市名なんかにもの悲しさを感じるのと同等のところであるかもしれないですが(そういえば、日本についてこれだけ語っている割に、この本では、日本の地名については一文も触れているところがなかった…)

ところで、プラスアルファが英語として使えないというのは今回初めて知りました。一つ賢くなりました。そして、ガイジンさんに「頭がんがんしますか?」と尋ねてはいけないということも勉強になりました。オノマトペの困難。
posted by sunfire at 22:31| 本:雑学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月30日

なぜうつ病の人が増えたのか

「なぜうつ病の人が増えたのか」
冨高辰一郎著 幻冬舎ルネッサンス新書

鬱病の人が会社で出て、本音のところ、勘弁してくれよ…と思っているので読んだ本。
まあ、周りの人間は思うよね。欝と言えば、周囲が優しくしてくれるから、本人はいいんだろうけど。自分の言葉がきっかけで自殺されてはたまらん、くらいに思って周囲は接している。しかし本当に自殺する人は何も言わないで自殺すると思うんだ…。休んでいる当人はいいけど、その仕事を受け持たざるを得ない周囲はどんどん疲弊していくので、欝病発症と言われるのは極めて迷惑。いっそやめてくれれば、人の補充が出来るのでいいし、病休者の給与を出すために残った人が働かなくても良いわけですが。いや、本当の病気や怪我は誰でもかかるし、すべての病休者に不満がある訳じゃないんですが、どうも欝なのかどーだかわからず、それ、ただのさぼりじゃね?と思える人が多いんで腹立たしく思う訳です。
という不満はさておき。

最近は新型欝が多い(好きなことは出来るという欝)についても、疑問を抱いていたので、何となく読んで納得した。
新型欝って、ただの軽度の欝なんじゃないだろうか(本を読んだ上の勝手な推論)。

この本の内容は要約すると以下のようなものだと思う。

精神科の先生が、鬱病の人が増えて不思議と思って調べたところ、SSRI(選択的セロトニン取り込み阻害薬)という新薬が認可された後に、鬱病の人が増えるというデータを発見した。これらは日本国内だけの現象ではなく、欧米でも発生している。
日本国内では不景気と連動して欝の人が増えているという風に捕らえられているが、実はそうではなく、軽度の欝の人が、欝は薬で治るという情報によって、精神科を簡単に受診するようになったため、欝が増えているという現象となった。以前は、重度の欝の人以外、医者にはかからなかった。
欝は薬で治るという情報を一般に認知させた契機は、SSRIを発売している製薬会社によるキャンペーンが原因。ネットなどの欝診断やCMなども実は製薬会社がスポンサーをしている可能性がある。欝は医者へ、という製薬会社のキャンペーンにより一般への認知が進むと、何故か、政府も欝病キャンペーンのようなものを開始する傾向がある(複数の国でそういう現象が見られる)。そして、一般への認知は更に進み、軽度の欝患者も欝病認定されて、薬(SSRI)を処方される。

SSRI以前にも、欝病の薬はあったが、薬価非常に低かった(1/10程度)。薬価が高いSSRIは製薬会社にとって、売れることにうまみがあるため、キャンペーンを行うようになった。鬱は長期化することが多いため、長期にわたって高価な薬が売れることも、製薬会社にとって好都合である。新薬を開発するより、販売キャンペーンを行う方が、売上げを簡単に上げることが出来る。

SSRIは以前の欝の薬と違って、喉の渇きや便秘などの症状がない。しかし、欝病の薬効としては以前の薬と余り違わないという研究結果がある。
また、小児への投薬は悪い影響をもたらすという研究報告がある(英国では投薬を禁じられている。日本では禁止されてない)。
SSRIの一部の薬は、離脱症状があるため、飲み始めると、やめにくい。

多くの軽度鬱病は、休養により(薬がなくとも)3ヶ月程度で治る。(重度欝は別。軽度でも一部は、治らないものもあるらしい)。
SSRI発売後も、自殺者は別段減っていない(むしろ、自殺者数は単純に景気に比例している)。

医者も製薬会社のパンフレット以外の情報でちゃんと勉強している人は少ない。その他の情報で勉強しようにも、医者の多くが製薬会社のお金でパーティを開いたり研究開発費を貰ったりしていることからして、学会などの研究発表についても、内容は単純ではない。


以上な感じでしょうか。データと共にこれらの事実が語られていて、私にとっては衝撃の内容でした。
そうか、休んでいれば、3ヶ月くらいで軽度欝は治るのか! というのが最大の衝撃でした。
気鬱な時期がある人間にとっては重要な事実で朗報です。
疲れていると思ったら、無理せず、休むのがいいってことですね。変に医者を訪ねて薬を処方されるより、飲まずに済むならそれでいいというか。離脱症状があるというのなら、ますます飲まないのが良いのではないか。筆者の方は、欝病の急進期については、薬の処方も必要という判断ですが、軽度欝ならいらないんじゃないのかな。
あまり体力がない人は、こういう情報を脳に入れておくだけで、楽になれると思う。疲れていると、思考がネガティブになるというか。

実際には仕事を休むのは無理かもしれないので、適宜、手を抜いて、休日は必ず確保して、ゆっくり過ごすといいんじゃないだろうか、と思った訳です。疲れが取れればなんとなく気持ちも復帰する気がする。そうやって乗り越えればいいんだな、と思いました。

家から出るのがおっくうで、仕事したくない訳じゃないけど、電車のホームでここで飛び込んだら楽になれるな…と思い続けた日々を思い返すと、人ごとではない。
ただ、原因が仕事疲れだけではなくて、原因を本人自身も良く理解出来てない時には、きついかもしれない。

仕事の閉塞感(上手く行かない)、上司がわけわからん、他部署の人からの強いプレッシャー。
自分が気を滅入らせて体調を悪くした理由は振り返ればこれらにあるのは判っている訳ですが。まあ、逃げちゃ駄目だでどうにか振り切ったけど(気は滅入ってもこんなの欝ではないとは思っていた)、特に上司がわけわからん(上司や周囲評価からすると無能ではないらしいが、有能というところが部下から見ると全く見えないし、部下に対する気遣いが全くない)、ってのは本当に辛かった。何しろ、部下は何をやっても当然な感じで、ねぎらいの言葉もない…。深夜勤や休日出勤も、仕事だからやりなさい、で終わる(本当はそんな業務を作ってしまうところに、根本的な管理の不行き届きがあると私は思うんですが)。こちらが一歩踏み込んで苦情を述べ立てると、切れる。切れるという表現が合う応対をされる…。いや、私も切れることはありますが、何故そこで切れる?と思うところで、いきなり切れる。そこで必要なことは、理詰めの説得なんじゃないかな?と私は思うのですが。子供のかんしゃくレベルに見えて、引く。しかも、誰が見ても優秀な人は、非常に重要視して重用している風情が見えるけれど、その他はどうでもいい十把一絡げと思ってるんじゃないかという。そんな自分もひとからげ…。
この上司については、気にしないことが重要、という結論に落ち着きましたが、それを判るまでに5年かかった。事実、この上司の下にいる人は、とてつもなく離職者が多かった。後に本人が「自分に原因があるのかと思って悩んだ」と飲み会で言っているのを聞いて、それ貴方に原因ありますから、としらふの私は心の中で苦笑していた。誰も指摘しないのだろうか。

という愚痴はさておき。

この本の著者は、軽度欝の人が病院に来ることの善し悪しには触れていません。
薬については、上でも書いたように、急進期については投薬した方が良い、と言っているように読めます。欝の症状がなくなってきたら、だんだん薬はなくしていく方が良いのでは、と言いつつも、薬によっては、離脱症状が出るのでやめさせにくくなることも、という表現もある。
また、この本に書かれているような内容を、鬱病の患者本人に知らせるのも得策ではない(自分が飲んでいる薬を意味ないと言われて喜ぶ患者は少ない)。周囲の家族が知っていることには意義があるが、しかし、精神科医でない素人が、勝手に薬の投薬中止判断も良くない、と言っている(と思う)。

これらの情報を見てその他思ったことというと。
確かにネットなどで欝病診断チェックみたいなのが増えたと思います。ネットの一般化とSSRIの発売時期が同じくらいなので、どうのこうのは言いにくいですが。
あと、本は確かに増えた。そしてテレビ(NHK)で、「鬱病は治りにくい、合う薬が見つかるまで、いろんな薬を試すことになる」、という表現の放送を見たことがあります。それを見た後、私は素直に、薬がいろいろあって身体に合うものを見つけるのが大変ってことか、と思っていたのですが。この本を読んだ後では、それって、実はいろいろ試していて合う薬が見つかった訳ではなく、単に治る時期に来た人が治ってるってことじゃないの?、という気もしました。(医者には是非実験を求めたい)

そういえば、知人が、引っ越し前後で二人の精神科の先生にかかってしまい、前の先生は徐々に薬をやめて治療していきましょう、と言うし、今の先生は、薬を飲みましょうと言うし、どちらを信じて良いのか良くわからない、とか言っているらしい(伝聞)。
何だかなあ…と思った次第。ぐだぐだ悩んでいるらしいですが、これって本人の性格の問題だよね、とか思ったりも。そもそも薬に頼るより運動しろよな…とかも思ったりも。ある程度の運動(歩くこと)で欝が治るという実験もあるそうですし。


個人的には、ただでさえ医療費が切迫してきているのに、こうした高い薬を不要な人に投与するのは、本当にやめて欲しいと思う。そして、安易な鬱病診断で周囲が被る迷惑というのを、医者も考えて欲しいと思いました。本当に調子悪い人もいるし、そういう人たちを支えるのは致し方ない。
でも、好きなことのために出かけて楽しそう=しかし会社来れない=とはいえ病休扱いで全額給与保証中=周囲は忙しくて死にかけているという状況だと、辛いながらも働いている人は不愉快に思うのは事実。
まあ、少なくとも、出かけて楽しそうなことを、twitter(会社の人に知られているアカウントで鍵もなし)でつぶやくのは、問題ありだよなあ、とは思います。別アカ取ればいいのに(苦笑)。

こういうところで愚痴を言い散らかすことも、息抜き憂さ晴らし(欝回避)だよなあ、と思ったりします(笑)。
posted by sunfire at 11:42| 本:雑学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月27日

東京タワー50年

「東京タワー50年」
鮫島敦著 日経ビジネス人文庫

この本も面白かったです。面白かった本って読み終えて時間経っても面白かったってことは良く覚えているなあ、としみじみしたり。

東京タワーが建築されたときの苦労の物語、そして東京タワーが出来てからの繁栄の物語、更には、東京タワーが余り顧みられなくなった後のさまざまな物語。

東京タワーの建築中の写真とか余り見たことがなくて、それだけでも楽しい。スカイツリー建築中の写真は山ほど撮られていますが。そういう意味で言うと、出来てからはいくらでも見ることが出来るけど、造っている最中は唯一だな、とも思う。

それから、東京タワーには大展望台の下に、もう一段フロアがあって、ビヤホールになったかも、とかいうのを読むと笑ってしまう。

他にも東京タワーのライトアップ。その昔の東京タワーは夜はさほど顧みられてなかったな、と思ったけど、それはライトアップのやり方が全然違ったからなんだなあと思い知る。今の東京タワーのライトアップは非常に美しいと思います。昔のライトアップの写真見るとしょぼい…。そういう意味では、今のライトアップもたまにやってる方式のヤツはあんまり見た目よろしくないような(個人的意見)。
現在の東京タワーのライトアップを見ていると、スカイツリーのライトアップも待ち遠しい気になります。どんな風なのかな。ライトアップテストの時に見なかったので余計に楽しみです。

ところで。個人的に思うんですが。東京タワーは安定感があって、地震とかあっても倒れそうにない気がして安心なのですが(実体はさておき)。スカイツリーは、ぽきっ、とか折れそうで怖いっつーか、根本から転げそうというか。
だって、東京タワーのおみやげ(小さい模型)、東京タワー部分だけで自立出来るけど、スカイツリーのおみやげって、絶対、台座なしであれだけでは自立出来ないと思うんだよなあ。

そういえば、この本を読んで、東京タワー立てた人が、マザー牧場造ったんだ…と知り、マザー牧場に行きました。前田久吉さん、東京に美しい鉄塔をありがとう。周囲のビルに隠れ始めていても、見える場所に行くと見える。優美な赤い姿を見ると、いつも楽しい気持ちになります。
posted by sunfire at 22:57| 本:建物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月26日

密室入門!

ナレッジエンタ読本14
「密室入門!」
有栖川有栖×安井俊夫 MEDIA FACTORY

ミステリ作家と建築家の密室についての対談。
これ、結構、ネタバレ来るので、ネタバレ嫌いな人は覚悟して読んだ方がいいです。

とりあえず、カーの密室講義をクリアし、そして、何かと古い名作を読んでいた私は、さしてネタバレにあわずに済んで良かったという感じでした。

対談形式なので読みやすいです。あと、作中の作品が気になり始めるかな。
posted by sunfire at 23:03| 本:建物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月25日

デュラララ!!×8

「デュラララ!!×8」
成田良悟著 電撃文庫

またキャラクターが増えてますが。
このお話はいったい何巻くらいまで作者は書くつもりなのでしょうか。
セルティの首が戻るところまで書くつもりなのか。
こんな進捗具合で今後何冊必要なのか。謎だ。
他のシリーズも平行して書いているとなると、これまたいったいいつになったら終わるのか…。
あ、そういえば、文章はまともになってきた気がする。相変わらず何というかキャラクターや展開が痛いんですが。どうも私と相容れない。…とか言いつつ、8巻まで読んでいる私すごい。

実際、よほど相性が悪くない限り、読み始めた本は最後まで読むので。とりあえず全巻読むぜ意欲も高く、読み終わる前に別の巻を買うという戦略が上手く働いた気がします。次の巻はまた今度買えばいいやと思っていると、そこで読むのをやめてしまったシリーズとかどれだけあることか。
というか、次の巻を待っている間に、盛り上がりが覚めて続きが読めなくなるとかいうこともありますね。トホホ…。こんな適当な読者もいるということで、自分でも心しておきたいと思います。
posted by sunfire at 19:46| 本:ラノベ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月24日

デュラララ!!×7

「デュラララ!!×7」
成田良悟著 電撃文庫

当初から放置の二人がメインの話…を読んで思った。この作者のすごいところは、お話の進め方と細切れの場面転換だなあ。

大量キャラクターを出しているからこそ発生することだと思いますが、大量のシーンをこれだけ良くもまあ平行して入り乱れて書けるな、と。
時系列とか絡みとか考えると、最初にかなり丁寧に設計図を引かないとこれは書けないのではないか。どうやって書いているのか気になるところ。
ちゃんと設計図を立てた上で(フローチャートみたいなの?)、プロットをおこし、そこから書始めるんだろうなあ。
脳内プロットだけで書いていたら天才と思うけど、さすがにそれは無理だろう。

プロット書くと、飽きるので書けないとかいう人間には無理な構成のお話…とか思ったりしつつ、こういうのも見習って書いてみるといつもと違うお話が書けるのかも。
posted by sunfire at 10:11| 本:ラノベ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。